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はじめに

Swing 入門書「Javaアプリケーション作成講座」が想定する対象読者と概要説明です。

対象読者

本書では Sun Microsystems が提供する Java プラットフォームで動作するグラフィカルなアプリケーションを開発するプログラミング技法を解説します。本書の読者は、コンピュータの基本的な動作原理と、Java に関する知識、及び Java 言語仕様について理解していることを前提としています。

本書を読むにあたり、高度な数学能力や他のプログラミング言語の知識は必要ありません。しかし、Windows などのネイティブなシステムの API プログラミング経験者であれば、より本質的に本書の内容を理解することができるでしょう。また、本書が解説対象としているのは java.awt パッケージ、及びこれに関するパッケージと、javax.swing パッケージ、及びこれに関するパッケージに属するクラスです。java.lang や java.util、java.io などの基本的なパッケージについては Sun Microsystems が公開しているドキュメントなどを参照してください。

Java プラットフォーム、及び Java 言語については筆者の前作「読本 Java」を推奨いたします。本書と合わせて読んでいただければ、Windows や Mac OS、Linux などで共通して動作するグラフィカルなウィンドウアプリケーションを作成方法を学習することができます。どのシステムでも共通して利用することができる、再利用性、移植性、保守性、生産性の高いシステムを構築することに興味があるならば、ぜひ本書を読まれることをお勧めします。

Java と Swing で開発するアプリケーションは生産性に優れています。Windows アプリケーションを C 言語で開発しようとすると、ウィンドウを表示しようとするだけで 100 行近いコードを書かなければなりませんでしたが、Java 言語と Swing を用いれば 10 行程度でウィンドウを表示することができてしまいます。もちろん、そのプログラムはそのまま Mac OS X や Linux でも実行できてしまうため、移植性も自動的に確保できるでしょう。

新しく作成するソフトウェアや、発足するプロジェクトの開発環境に Java と Swing を候補に入れることは自然な流れですし、何らかのプラットフォームに依存しているソフトウェアを Java 用に移植するという方法も、製品の市場を広げる最も最良の手段でしょう。今後も、多くの企業や開発者たちが Java と Swing に参加してくることが考えられます。

プログラマとしてのスキルアップとして、または製品の利益を上げる新しい道を模索する手段として Swing ライブラリを学習することは合理的な判断です。そして、その学習には、ぜひ本書を役に立てていただきたいと思います。

本書概要

Swing とは、プラグイン可能な Look & Feel を持った GUI コンポーネントのセットをプラットフォームに依存しない Java で実現するライブラリです。Swing は、全体が Java プログラミング言語により実装されているため、Java 言語の基本を学習していれば利用することができます。

近年ではコンピュータが低価格で手に入るようになり、個人でも複数のコンピュータを保有する時代になりました。デスクトップはもちろん、職場と自宅で仕事を処理するためのノート型やタブレット型、スーツのポケットに入れて常に持ち運ぶPDAや携帯電話、すでにパーソナルコンピュータに劣らない性能を誇る家庭用ゲーム機など、コンピュータは形を変えながら私たちの日常に溶け込もうとしています。

ユビキタスコンピューティングの社会では、データや使いなれたソフトウェアをあらゆるデバイスで利用できなければなりません。ユーザーにとっても重要なことですが、それ以上に開発者にとって重要なことです。自分の周辺に散乱している多くのコンピュータが異なるプラットフォームであれば、それぞれのために専用のプログラムコードを書かなければなりません。誰がそのようなことを望むでしょう。

筆者自身も多くのコンピュータを保持していますが、まさにプラットフォームの壁に悩まされています。このソフトウェアが Java で書かれていればもっと便利になるのにと思うことも少なくありません。あらゆる環境で動作するソフトウェアを開発することは今後の開発戦略として重要です。

Swing を使えば、Java でどこでも動くグラフィカルなソフトウェアを簡単に開発することができます。今からでも遅くはありません。ようこそ Java & Swing の世界へ。