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HTMLとは

ブラウザが表示する Web ページは HTML と呼ばれるマークアップ言語で作られています。HTML は文書の意味と構造を記述するために用いられ、Web ページを作成するために欠かすことのできない最も基本的な仕組みを提供します。

Web と HTML

Web が誕生した当時から現代に至るまで、その根幹を支える最も基本的な「文書」としての Web ページを記述しているのは HTML です。HTML とは HyperText Markup Language を略したもので、Web ページとして表示されるテキストや画像、表、入力フォームなどの関係を記述したテキストです。

基本的な Web の仕組みはインターネットが誕生した当時から大きな違いはありません。Web ページを表示するユーザーのコンピュータから、インターネットを介して Web サーバーに接続し、Web サーバーが要求された HTML を返答し、これをブラウザが描画します。

図1 HTMLとブラウザ
図1 HTMLとブラウザ

HTML の最大の特徴はハイパーリンクです。ハイパーリンクとは HTML 内に組み込まれた他の文書へのリンクです。ユーザーは、ブラウザに表示された文書のハイパーリンクを選択することで、リンク先の文書を Web サーバーに要求し、これによって別のページが読み込まれます。

HTML は単純なテキストで書かれているため、テキストエディタがあれば誰もが簡単に作ることができ、読むことができます。標準的なブラウザには表示しているページの HTML を表示する機能を持ちます。例えば Internet Explorer であれば、右クリックで表示されたメニューの「ソースの表示」項目を選択することで、表示しているページの HTML コードを読むことができます。

ブラウザの役割

HTML で書かれたコードは、そのままでは単なるテキストファイルです。HTML で書かれたテキストを解析し、記述されている意味に従って文書を構築するソフトウェアがブラウザ(Browser)です。ブラウザは HTML ファイルのレンダラー(描画機)であると同時に、サーバーに接続し、HTML や画像ファイルなどを要求する通信ソフトウェアとしての側面も持ちます。

Web ページの表示や通信、操作性などのユーザー体験はブラウザに依存するところが強く、表示速度やページのレイアウト・動作はブラウザによって異なります。ブラウザによってはページのレイアウトが崩れることもありますが、HTML ファイルが標準仕様に従っていない場合は、ブラウザではなく HTML のコードに原因があると考えるべきです。

Web ブラウザは Microsoft や Google など大手ベンダーが開発するものから、オープンソースで開発されているものまで多種多様に存在しています。より新しいバージョンのブラウザの方が、新しい機能を利用でき、表示速度などの面でも高速に動作します。

Web 標準

HTML コードの使用をブラウザの開発者が独自に決めてしまっては、ブラウザによって表示できるページとできないページが乱立してしまいます。現在、多くの Web ページは使用しているブラウザが何であっても、ある程度は同じように Web ページを表示できます。これは HTML など Web にとって重要な技術を中立的な組織が標準化しているためです。

1990 年代は Microsoft 社の Internet Explorer と Netscape 社の Netspace Navigator による、後にブラウザ戦争とも呼ばれる熾烈な競争が発生した時期がありました。この時代は Web 標準の準拠よりもブラウザの実装が優先されており、加えて Windows と Internet Explorer が事実上の標準として市場を支配した結果、Web 標準の準拠よりも Internet Explorer で正しく表示されることが重要になりました。Internet Explorer 6 までは Web 標準とは異なり実装や挙動が多く含まれており、。Internet Explorer 6 への対応は長く Web 開発者の悩みの種となりました。

こうした経験から、現在はブラウザの性能として Web 標準の準拠度が重要な指標となっており、Web 開発者も Web 標準に準拠した HTML コードを記述することが求められています。

Web 標準を牽引する中心的な組織は W3C(World Wide Web Consortium)です。W3C は Web に関係する技術仕様を策定し、標準化するために組織された非営利の標準化団体です。W3C は 1990 年代初等に CREN (欧州原子核研究機構)で Web の基本的な仕組みを提案した Tim Berners-Lee 博士によって創設され、HTML を含め今日の Web を支える重要な規格を定めています。

もっとも W3C が非営利の中立的な団体を標榜していても、世界の技術に強い影響を与える仕様を策定する組織であり、加盟する企業群と相応の資金が動いていることを考えれば、仕様の策定が理想通りに動くわけではないことを想像することはたやすいでしょう。Web 開発者は策定される Web 標準技術と、ブラウザ開発組織の双方の動向を見極める必要があります。