HTMLの歴史
進化するHTML
前述したように HTML は W3C が中心となって仕様を策定し、Web 標準として勧告されます。Web 標準に従って記述された HTML コードはブラウザ依存が少なく、長期的に携帯性を失うことなく文書の運用が可能となります。
HTML は誕生以来、何度がアップデートが行われています。HTML は 1990 年に CREN で発表され、IETF(Internet Engineering Task Force)の元で仕様の策定が行われていました。最初に発表された草案を HTML 1.0 と呼んでいますが、正式版としてリリースされた仕様は HTML 2.0 (RFC 1866)以降です。
1995 年、HTML 3.0 の草案から W3C で策定が行われるようになり、1997 年に勧告された HTML 3.2、及び同年の末に勧告された HTML 4 が現在の HTML のベースとなっています。
本校執筆時点で W3C が勧告した最新の HTML バージョンは 1999 年に勧告された HTML 4.01 であり、それ以降は XHTML に引き継がれました。しかし Microsoft が Internet Explorer 6 をリリースしてから、競合もなく直接の利益につながらないブラウザの開発は重視されず、数年にわたって HTML は停滞します。ただし Web 自体が停滞していたわけではなく、HTML などのブラウザ側の技術から XML Web サービスなどサーバー側の技術に流行が移ったことも大きな要因となっています。
HTMLバージョン | 勧告された年 | 仕様書 |
---|---|---|
HTML 3.2 | 1997 | http://www.w3.org/TR/REC-html32.html |
HTML 4.01 | 1999 | http://www.w3.org/TR/html401/ |
XHTML 1.0 | 2000 | http://www.w3.org/TR/xhtml1/ |
HTML5 | 策定中 | http://www.w3.org/TR/html5/ |
しかし 2005 年以降、オープンソースで開発されている Mozilla Firefox を筆頭に、Internet Explorer よりも高速で使い勝手の良いブラウザが登場したことでブラウザのシェアに変化が見られるようになりました。また Web サービス分野で競合する Google が Chrome ブラウザを開発したことで、再び Web 開発でブラウザと HTML が注目されるようになりました。
オープンソース陣営や Google は、積極的に新しい機能を Web 標準として提案し、草案として議論されている機能を素早くブラウザに実装しています。また Microsoft もこうした流れに従い Internet Explorer 7 以降は Web 標準への準拠と、高速で使いやすいブラウザを指向してブラウザの開発速度を早めています。
このような流れの中、長くアップデートが行われず停滞していた HTML も改定が進み、現在は HTML 5 として草案が提出されています。本稿執筆時点で HTML 5 は草案であり、正式な勧告ではありません。しかし、主要なブラウザでは既に HTML 5 の対応が行われているため、多くの Web ページが HTML 5 に移行を始めています。これから Web ページを作成する場合は HTML 5 をベースに開発することが望まれるでしょう。