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.NET Framework SDK

.NET Framework の開発ツールと、各種バージョンについて紹介します。

.NET実行環境と開発ツール

Microsoft が Windows 用に公式で提供している .NET Framework には、アプリケーションを実行するための仮想マシンやライブラリを含む実行環境と、アプリケーションを開発するために必要なコンパイラなどを含む開発ツールの 2 種類が存在します。

通常、単に .NET Framework と呼んだ場合は実行環境のみを指し、開発ツールを含む場合は .NET Framework SDK と呼びます。.NET アプリケーションを実行するだけが目的であれば .NET Framework をインストールし、開発者であれば .NET Framework SDK をインストールすることになります。

Windows Vista 以降の Windows クライアントには標準で .NET Framework がインストールされています。ただし .NET Framework のバージョンが古いため、最新のアプリケーションを実行するには新しい .NET Framework をインストールする必要があります。

Windows XP より以前は .NET Framework が Windows OS に標準で搭載されておらず、オプションでのインストールでした。従って、古いシステムで .NET アプリケーションを実行するには、今でも追加でインストールする必要があります。

最新の .NET Framework は Windows Update からインストールすることも可能ですが、.NET アプリケーションをユーザーに配布するとき、ユーザーが .NET Framework を持っていなかった場合に備えて、その場でインストールできるように .NET Framework の「再頒布可能パッケージ」を添付することもできます。

.NET Framework の詳細や、各バージョンの情報については Microsoft の公式サイト「.NET Framework デベロッパー センター」などが役に立つでしょう。

[.NET Framework デベロッパー センター]
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/netframework/aa496123

最新の .NET Framework 及び .NET Framework SDK をダウンロードするには、以下の「.NET Framework ダウンロード」をご覧ください。

[.NET Framework ダウンロード]
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/netframework/aa569263.aspx

.NET Framework 1.0

記念すべき .NET Framework の最初のバージョンです。1990 年代後半から構想され、2000年には開発に着手されベータ版が公開されていました。2002年1月に正式リリースを迎えています。その後 Service Pack 3 まで開発とサポートが進められました。

.NET Framework 1.0 は、以下のシステムにインストールできます。

  • Windows 98
  • Windows 98 Second Edition
  • Windows NT 4 (Workstation, Server) Service Pack 6a
  • Windows 2000 (Propessional, Server, Advanced Server)
  • Windows XP (Home, Propessional)
  • Windows Server 2003 ファミリ

それぞれ、最新のアップデートが行われ、少なくともシステムが要求する最低限のハードウェア要件を満たしていることが条件となります。

統合開発環境は、同時期にリリースされた Visual Studio .NET から対応しています。

.NET Framework 1.1

.NET Framework 1.0 にいくつかの機能追加と変更を加えたバージョンです。

.NET Framework 1.1 は、以下のシステムにインストールできます。

  • Windows 98
  • Windows 98 Second Edition
  • Windows NT 4 (Workstation, Server) Service Pack 6a
  • Windows 2000 (Propessional, Server, Advanced Server)
  • Windows XP (Home, Propessional)
  • Windows Server 2003 ファミリ

それぞれ、最新のアップデートが行われ、少なくともシステムが要求する最低限のハードウェア要件を満たしていることが条件となります。

統合開発環境は、同時期にリリースされた Visual Studio .NET 2003 から対応しています。

.NET Framework 2.0

共通言語ランタイムと中間言語にも変更が加えられ、対応するプログラミング言語が大きく進化したバージョンです。加えて、クラスライブラリにも機能が加えられています。64 ビットに対応し、その後の .NET Framework の基礎を固めることとなったバージョンです。

.NET Framework 2.0 は、以下のシステムにインストールできます。

  • Windows 2000
    • Professional SP4
    • Server SP4
    • Advanced Server SP4
    • Datacenter Server SP4
  • Windows XP
    • Professional SP2
    • Professional x64 Edition
    • Home Edition SP2
    • Media Center Edition 2002 SP2
    • Media Center Edition 2004 SP2
    • Media Center Edition 2005
    • Tablet PC Edition SP2
    • Starter Edition
  • Windows Server 2003
    • Standard Edition
    • Standard x64 Edition
    • Enterprise Edition
    • Enterprise x64 Edition
    • Datacenter Edition
    • Datacenter x64 Edition
    • Web Edition
  • Windows Server 2003 R2
    • Standard Edition
    • Standard x64 Edition
    • Enterprise Edition
    • Enterprise x64 Edition
    • Datacenter Edition
    • Datacenter x64 Edition

それぞれ、最新のアップデートが行われ、少なくともシステムが要求する最低限のハードウェア要件を満たしていることが条件となります。

統合開発環境は、同時期にリリースされた Visual Studio 2005 から対応しています。

.NET Framework 3.0

 2006年11月に、この年の中心的な存在だった Windows Vista のリリースに合わせて公開されました。Windows Vista 及び Windows Server 2008 から標準搭載されています。これ以降のシステムでは .NET Framework 3.0 のアプリケーションの実行に追加のインストールは必要ありません。

.NET Framework 3.0 は基本となっている共通言語ランタイムに変更はなく、ベースは .NET Framework 2.0 のまま新しい先進的な機能を持ったクラスライブラリを追加したものです。よって、サポートされるシステムも原則 .NET Framework 2.0 を踏襲しています。ただし Windows 2000 はこの時点でサポートから外されました。

.NET Framework 3.0 は、以下のシステムにインストールできます。

  • Windows XP Service Pack 2
  • Windows Server 2003 Service Pack 1
  • Windows Vista

それぞれ、最新のアップデートが行われ、少なくともシステムが要求する最低限のハードウェア要件を満たしていることが条件となります。

統合開発環境の支援が乏しく、予定されていた Visual Studio 2005 での機能追加も不十分だったため、本格的な開発支援は Visual Studio 2008 を待たなければならない状態でした。

.NET Framework 3.5

.NET Framework 3.5 は 2007年11月に正式リリースされました。Windows 7 及び Windows Server 2008 R2 から標準搭載されています。

.NET Framework 3.0 から .NET Framework 3.5 リリースまでの更新期間が短く、不調だった Windows Vista に対して Windows 7 が好調に販売を伸ばしたため、.NET Framework 3.0 が浸透するよりも早く普及しました。2010 年前後で、最も中心的なバージョンです。

.NET Framework 3.0 は Windows Vista のリリースに合わせて、多くの計画変更に見舞われながら開発が進められたため、Visual Studio などの周辺開発ツール側での支援が不十分だったことも強く影響しているでしょう。.NET Framework 3.5 こそが .NET Framework 3 世代の完成版というような印象があります。

.NET Framework 3.0 と同様に共通言語ランタイムは .NET Framework 2.0 から変更はなく、クラスライブラリの追加が中心となっています。

.NET Framework 3.5 は、以下のシステムにインストールできます。

  • Windows XP Service Pack 2
  • Windows Server 2003 Service Pack 1
  • Windows Vista
  • Microsoft Windows Server 2008

それぞれ、最新のアップデートが行われ、少なくともシステムが要求する最低限のハードウェア要件を満たしていることが条件となります。

統合開発環境は、後にリリースされた Visual Studio 2008 から対応しています。また、アプリケーションデザイン環境として Expression Blend 2 が対応しています。

.NET Framework 4

本.NET Framework 2.0 以来、久しぶりに共通言語ランタイムに変更が加えられ、より現代的なプログラミングを可能としています。

また、このバージョンからクラスライブラリの肥大化の対策として、実行環境である .NET Framework が 2 種類のエディションに分離されています。

  • .NET Framework 4 Full
  • .NET Framework 4 Client Profile

これまでのような、すべてのライブラリを含む場合は Full と呼ばれるようになり、一般的なクライアント環境だけに必要なクラスライブラリに絞ったサブセットを Client Profile と呼びます。ほとんどのデスクトップアプリケーションは Client Profile で問題なく動作します。

.NET Framework 4 は、以下のシステムにインストールできます。

  • Windows XP Service Pack 3
  • Windows Server 2003 Service Pack 2
  • Windows Vista SP1 以降
  • Windows Server 2008
  • Windows 7
  • Windows Server 2008 R2

それぞれ、最新のアップデートが行われ、少なくともシステムが要求する最低限のハードウェア要件を満たしていることが条件となります。x86、x64 のどちらのアーキテクチャもサポートされています。Windows Server 2008 及び Windows Server 2008 R2 において、Server Core の役割の場合はサポートされません。

統合開発環境は、同時期にリリースされた Visual Studio 2010 から対応しています。また、アプリケーションデザイン環境として Expression Blend 4 が対応しています。

.NET Framework 4.5

校執筆時点の最新バージョンです。Windows 8 および Windows Server 2012 世代の .NET Framework で、Windows 8 で追加された Windows Runtime に対応したアプリケーションを開発するための Windows ストアアプリ用の.NET (.NET Framework 4.5 のサブセット)を含みます。

主要な機能拡張としては非同期処理の強化です。ファイル IO のような時間のかかる処理に対して、主スレッドを停止させることなく処理をバックグラウンドで行う操作が容易になります。プログラミング言語側でも C# と Visual Basic に async 修飾子await 演算子が追加され、非同期操作を構文に統合しています。これによって、複雑で面倒なマルチスレッドプログラミングから解放されます。

また、この数年で Windows PC 用に作られたフルセットの .NET Framework だけではなく、Windows Phone や Silverlight など Windows PC 以外で動作するサブセットが増えているため、複数のプラットフォームで再利用できるコードの携帯性の確保が難しくなってきました。そこで .NET Framework 4.5 では汎用性のあるクラスライブラリを開発し、Windows 8、Silverlight、Windows Phone、Xbox 360 で共通して利用できるアセンブリを作成できるようになりました。

.NET Framework 4.5 は、以下のシステムにインストールできます。Windows 8 と Windows Server 2012 には既定でインストールされているため、個別にインストールする必要はありません。

  • Windows Vista SP2 以降
  • Windows 7
  • Windows 8
  • Windows Server 2008 SP2
  • Windows Server 2008 R2
  • Windows Server 2012

それぞれ、最新のアップデートが行われ、少なくともシステムが要求する最低限のハードウェア要件を満たしていることが条件となります。x86、x64 のどちらのアーキテクチャもサポートされています。

統合開発環境は、同時期にリリースされた Visual Studio 2012 から対応しています。