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Imagine Cup 2012 日本大会

2012年4月7日に開催された Imagine Cup 日本大会にて、赤坂玲音がメンターとして監督する学生チーム Esperanza がファイナリストとして選出され、本番に挑みました。彼ら学生たちの Imagine Cup への取り組みと、日本大会の様子をレポートします。

ROCK OVER JAPAN!!

Imagine Cup (イマジンカップ)は Microsoft が主催する学生の世界的な技術コンテストです。毎年、世界各国で開催されており、最終戦まで残った学生チームは世界大会に招かれ競い合うことになります。

Imagine Cup は単に技術力を競う大会ではなく「Imagine a world where technology helps solve the toughest problems.(想像しよう。地球規模の難題がテクノロジの力で解決される、そんな未来を。)」をテーマに、国連が定めるミレニアム開発目標をモデルにした、社会問題に対するソリューションが要求されます。社会の問題に対して取り組む熱意があり、それを熟知し、問題を解決するための提案と、それを技術的に実装する総合的な能力が必要です。

大会は「ソフトウェア デザイン部門」と「ゲーム デザイン部門」に大きく分かれ、規模が大きく主軸とされているのは「ソフトウェア デザイン部門」です。しかし「ゲーム デザイン部門」も世界大会まで厳しい選考を潜り抜けなければならず、上記の社会問題に対する解決を表現したゲーム作品でなければなりません。

赤坂玲音が率いるチーム Esperanza は、ゲーム専門学校「バンタンゲームアカデミー」からプログラマ学部とプランナー学部より選抜で構成され、同校のグラフィック学部及びサウンド学部の協力を得ながらゲーム部門での出場を目指して、昨年からプロジェクトを動かしてきました。

図1 作業風景
図1 作業風景

様々な社会問題を検討し、ゲームという媒体で何を表現し、どのような形で社会にソリューションを提供できるか議論を重ねました。学生らしい自由で枠にとらわれない意見を尊重しながら、私たちが広く世界に伝えるべきテーマとして、2011年3月11日に発生した、あの東北地方太平洋沖地震に端を発する一連の震災という痛ましい経験を選択しました。

図2 イメージボード
図2 イメージボード

あの悲惨な震災の経験を広く世界に共有し、自然災害の脅威と防災の重要性を伝えると同時に、世界各国からの援助があったからこそ、現在の日本あることを伝えたいと考えています。暴力的表現が制限される中、どのように被害の深刻さや、自然の驚異、それに立ち向かう人たちの戦いを描けるのか、開発の裏では様々な議論を繰り返してきました。

日本大会本選!生存戦略、しましょうか。

初挑戦となった Imagine Cup ですが、彼ら学生たちの努力もあって書類選考を無事に通過、日本大会のファイナリストとして残ることができました。日本大会は世界大会に比べれば小規模なものですが、日本マイクロソフトの品川本社で学生によるプレゼンテーションが行われ、日本マイクロソフトによって招待された審査員数名によって評価されます。

図3 日本大会プレゼンテーションの様子

ゲーム部門に与えられたプレゼンテーション時間はわずか5分で、PowerPoint のスライドと動画のみを使ってゲームの概要や Imagine Cup のテーマとの関係、技術的な工夫などを解説します。我々が提出した作品「BLUE FIELD」は、震災被害で瓦礫と化した街を復興に導くリアルタイムストラテジー(RTS)ゲームです。

ゲームPV ※世界大会提出版
図4 OPムービーより、変わり果てた故郷に呆然とする人々
図5 到着する主人公たちの部隊
図6 瓦礫を片付け道を切り開け!
図6 瓦礫を片付け道を切り開け!

RTS と言えば Age of Empires シリーズや StarCraft シリーズが有名ですが、日本だと知名度の低いゲームジャンルです。ファミコン世代には「伝説のオウガバトル」に近いジャンルと説明した方がイメージしやすいかもしれません。実際、RTS を知らない学生も多く、Halo wars などを参考に RTS がどのようなゲームで、何が面白いのかを議論させました。

本作は、部隊に命令を出して、瓦礫をどれだけ効率的に、素早く集積所まで持ち運ぶかを競います。震災で被害にあった街は地割れなどで道がふさがれており、人や重機を使って道を切り開きながら奥へと進んでいきます。

俺たちの戦いはこれからだ!(Esperanza先生の世界大会にご期待ください)

ゲーム部門の結果発表と表彰は、株式会社コンセプト代表取締役の稲船敬二氏によって行われました。

図7 審査員を代表してゲーム部門の発表を行う稲船氏
図7 審査員を代表してゲーム部門の発表を行う稲船氏

我々 Esperanza の日本大会優勝をご報告したかったところですが・・・、ゲーム部門で最優秀賞に選ばれたのはトライデントコンピュータ専門学校のチームブロッサムが提出した作品「ブルーム*ブロック」でした。可愛いキャラクターに分かりやすいコンセプトとゲーム性、そして細部まで作りこまれたゲームとしての高い完成度が評価されたのだと思います。お見事です!

図8 優勝チームの作品「ブルーム*ブロック」
図8 優勝チームの作品「ブルーム*ブロック」

日本大会では第2位に甘んじてしまいましたが、Imagine Cup のゲーム部門は日本大会と世界大会の審査は別に行われており、世界大会では本校執筆時点で Round3 の審査が控えております。我々 Esperanza と日本大会で優勝したチームブロッサムは、共に Round3 まで残っており、世界大会を目指して開発を進めています。学生たちの挑戦を応援してあげてください。

また、これをきっかけに Imagine Cup に興味を持っていただけたなら、ぜひ来年度での参加をご検討ください。学生であるなら仲間を集めてチームを作り、プロフェッショナルの技術者ならばメンターとして優秀な学生を見つけプロデュースしましょう。世界に挑戦する若者が一人でも増えれば幸いです。

関連文書

参考